第8回ブッダ・ウォーキングレポート


浄瑠璃寺・当尾の石仏・岩船寺・円成寺


前日まで懸念されたお天気もすっかり晴れて4月中旬のような絶好のウオーキング日和となりました。
今回は奈良県と京都府の県境を幾度も出たり入ったりしながら、山間の小道や谷間を遡る楽しいところでした。
前回の般若寺や興福寺で見たように、日本仏教も国教として人々の心に定着し、浄土教の教えが死後の世界にいざなってくれたことで、一層の深まりと広がりを見せてゆきます。
日本に中国から7世紀前半に伝えられたのち、来世を願う心が阿弥陀如来信仰として皇族貴族から一般民衆まで広がっていった藤原(平安)時代に興隆したのが、極楽浄土の主・阿弥陀如来を本尊とする今回の寺々でした。


浄瑠璃寺


薬師如来の東方浄土である浄瑠璃世界と阿弥陀如来の西方・極楽浄土を礼拝するために1047年に建立されました。
池を挟んだ東側に三重塔が西側には本堂が配置され、此岸から彼岸を表し、薬師如来が過去世から来世の阿弥陀仏の下へ送り出し迎えてくださる大乗仏教の世界となっています。

本堂には国宝の阿弥陀如来像を9体安置しているため九体寺とも呼ばれ、1150年には浄土式庭園と京都から三重塔が移築(1178)されて薬師像を安置しています。

本堂の阿弥陀如来像はいづれも金色に輝き、浄土教の「観無量寿経」に説かれる仏を体現しています、何故九体もの阿弥陀(無量寿)仏がおられるのかといえば、「観無量寿経」では死者が現世でやってきたことの善悪などによって、上品上生者から中品中生者・下品下生者まで極楽浄土に往く道が九通りに違っていることを表しています。


       馬酔木(あしび)が咲く山門への小道                          三重塔(国宝)

池を中心に広がる庭園は
国の特別名勝及び史跡に指定され、
国宝の四天王像や秘仏の薬師如来像
・吉祥天女像(いづれも年3回開扇)
などが有名です。
奈良市内からバスで約30分で行けま
すから是非尋ねてみてください。










九体の阿弥陀如来(いづれも国宝)を安置する本堂(国宝)


当尾(とおの)の石仏群


       左から阿弥陀如来・地蔵菩薩・観音菩薩                          阿弥陀如来
























浄瑠璃寺から岩船寺へは30分ばかり登り坂が続きますが、
その道すがら鎌倉時代に磨崖仏が次々と彫られてゆきま
した、これは一般民衆に仏教が浸透していったことを現し
ているものと解釈できます、いまも花筒には可憐な花々が
生けられていることは、いまなお石仏をだいじに保存する
素朴な人々を感ぜられて楽しい道です。


わらい仏(阿弥陀三尊像)


岩船寺
このあたりでは一番古くからのお寺で創立は729年(天平元年)聖武天皇が行基菩薩に建てさせました、歴代の天皇の尊崇深く813年には堂塔伽藍が整備され、最盛期には三十九もの坊舎があったそうですが1221年の承久の変で大半が焼失、再興を重ねて江戸時代に現在の概容になり、本堂は1988年に再建されました。三重塔は840年前後に創建され鎌倉時代に再建されたそうです。
ここの本尊・阿弥陀如来坐像の周りは四天王立像で固められています(いづれも重要文化財)、花の寺としても有名です。



十三重塔と三重塔(いづれも鎌倉時代・重要文化財)



岩船寺山門


うれしい昼餉のひととき


円成寺
岩船寺から2時間近く、川沿いの道から柳生街道へでて柳生の方へ進むと円成寺に着きます。ここは聖武・孝謙天皇の勅願により唐僧・虚瀧和尚が開創としたと伝えられていますが、史実としては1026年に十一面観音を祀ったのが初めとか、1112年に阿弥陀如来が祭られて以後寺門が栄えたそうですが、その後応仁の乱で焼失、1466年(室町時代)に本堂などが同じ規模と様式で再建され1961年に解体修理されました。

ここの寺域は美しく整備され、本堂の春日造社殿には宝蔵・経蔵・篭道などが付随し、藤原時代の阿弥陀堂として化粧天井そして内陣の四本柱には極彩色の来迎菩薩像が描かれ、その華麗さは例えようもありません。
楼門の近くには多宝塔があり国宝の大日如来坐像が本尊として安置されていますが、運慶25歳時の作で1176年に完成しました。奥まったところには小さな可愛らしい国宝の白山堂と春日堂(春日大社の旧社殿)のお社が拝殿を前にして建ち、国道沿いに変わった注連縄が鉄柱に取り付けられています。




円城寺庭園より楼門と本堂を見る


                   本堂                                      多宝塔






























                                                                                                      

  
 
 
白山堂と春日堂:国宝
    


多宝塔の屋根裏の美



 珍しいしめ縄 



あゝ!しんどかった

今回のブッダ・ウォーキングの裏話をしますと、僕は6日前から持病のギックリ腰になりこの日も雨なら中止と思っていましたが、幸いにも(??)上天気の予報に勇をこして出かけました。

傘を杖代わりに歩き出すと少しの段差でも腰に痛みの衝撃が走り足が折れ込んで、杖のおかげでひっくり返らずにすむ始末、石段ではまるでスキーで上り下りするみたいな無様な格好、傘は折れてしまうやら皆さんにはご心配をおかけするやら散々な一日でした。

それでも岩船寺から国道筋までの1時間はギックリギックリしながら休まずに歩きとおすことができて、予定の時間より早く着くことが出来ました、ご参加くださった方々は名うての健脚ぞろい、その健脚振りをのろいつつ歩いた時間は地獄のようでしたが、いずれの目的地も阿弥陀如来の極楽浄土ですから頑張れたのでしょうか。

お蔭様で荒療治が効いて翌日はかなり楽になりました、それもこれも椎間板ヘルニアから坐骨神経痛を患い入院した苦い思い出と、中国での自転車旅行中やその他の旅の途中でのぎっくり腰の度重なる再発の経験が活かされていることを知りました。いやはやえらい持病を抱えたものです。

帰り着いた奈良でYさんが国家試験の中国語通訳に合格された祝賀会をする頃には、酔いとともに腰痛のことはすっかり忘れていましたから、酒こそ百薬の長とこそ申すべきでしょうか…。


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